「うちの犬、なぜだか自分のしっぽを追いかけるし、時には噛むの。落ち着かないし、しっぽが心配。やめさせる方法とかあるかしら?」
こんなお悩みをうかがいました。子犬のころから、自分のしっぽを追いかけてくるくる回ってる光景はよく見かけるものです。しっぽがかゆい?しっぽが気になる?遊んでるだけ?こんな行動にも、いろんな理由があるのです。場合によっては深刻なことも。
こうしたお悩みを相談される飼い主さんは愛犬をよく見ていて、愛犬想い。とてもいい飼い主さんです。退屈だから一人で遊んでるだけかと思っていたら、しっぽを噛んで毛をむしってしまったり、ひどい場合はしっぽを壊死させて失ってしまうこともあるのです。
どんな理由があってどう対処すべきなのか、くわしく見ていきましょう。
常同障害という、犬の強迫性障害の可能性もあるんだよ。
犬がしっぽを噛む・追いかける5つの理由
犬がしっぽを噛む・追いかける理由(その1):退屈・遊び
子犬の時期に自分のしっぽを追いかけ始めて、くるくる回る。子犬ならではの好奇心で、しっぽに興味を持ち回り出して楽しんでいるということがあります。これは単なる遊び。
あまり深刻にとらえず構わないことです。飼い主が面白がって反応すると、飼い主が喜ぶ行動であると誤った認識をしてしまいます。
犬がしっぽを噛む・追いかける理由(その2):注目を浴びたい
くるくると回ったりしっぽを噛むことで、飼い主が構ってくれると思ってしまうと、この行動をしつこくするような癖がついてしまいます。愛犬は常に、飼い主であるあなたの注目を浴びてあなたに構ってほしいのです。
愛情のかけ方を間違えると、愛犬の行動にも誤った形で影響してしまいます。この場合の正解は無視。落ち着いたら声をかけましょう。
犬がしっぽを噛む・追いかける理由(その3):ノミ・ダニ
ノミやダニの寄生により、しっぱがかゆい、掻きたい、噛んでしまえ。こんな場合は、駆除方法があります。獣医師に相談して即対策をとりましょう。
犬がしっぽを噛む・追いかける理由(その4):ストレス
理由の中で、一番深刻な問題がこのストレスによる常同行動。反復的で目的のない一つの行動に執着してやめることができず、発展すると自傷行為にもなりかねません。一言で「ストレス」といっても理由は様々。
体力が有り余ったエネルギッシュなわんこが、発散できていない場合のストレス。難しいのは不安感によるストレスです。子犬時代の怖い経験がトラウマとなっていたり、母犬から早すぎる段階で引き離されることによって、自分に自信が持てないわんこは不安になりがちに。
不安によるストレスの場合と体力が有り余っているという場合、さらにその両方の理由によるストレスが原因となって、常同行動に発展する場合もあります。不安を紛らわすために何かに執着してしまう、この執着がしっぽだったり、しっぽの毛をむしる行動となったりしてしまうのです。
放っておくと自分で自分のしっぽを噛みちぎってしまうなど、とても深刻な事態になってしまいます。原因をつきとめて、その原因を取り除くこと。早めにやめさせましょう。
犬がしっぽを噛む・追いかける理由(その5):肛門嚢炎
犬の肛門には分泌物を作る器官があり、そこが目詰まりすることで細菌が発生したり、膿んだり腫れたりすることがあります。小型の犬種に起こりやすい病気。毎日のケアや投薬治療、または手術など、重症度に合わせた対策をとります。
肛門嚢炎が疑わしい場合は、早めに専門知識のある人、獣医師やドッグトレーナーに相談しましょう。再発しやすい病気ですが、予防もできるものです。
愛犬がしっぽを噛む・追いかけるのをやめさせるには?
- 「構って」行動の場合は、無視
- エネルギーの有り余ったわんこは、疲れさせる
- 不安になりやすいわんこは、社会性を身に付ける
- 常同行動が始まったら、気持ちを逸らす
- わんこには自信も持たせ、落ち着いた従順なエネルギーを持たせる
- 飼い主は、常に穏やかで毅然としたエネルギーを保つ
あなたの注目を浴びたい、構って欲しいわんこの場合は、この行動に注目にしないのが一番の対策。「やめなさい」とか、「それは自分のしっぽだよ。わかってる?」など声をかけることで、注目されたと勘違いしていいように捉えてしまいます。
こうした行動を助長をするのは、常に飼い主である人間の誤った行動が原因。かわいいわんこに変な癖がつかないよう、飼い主として正しい行動をとりましょう。くるくる回り始めたら、無視すること。疲れておとなしくなったところで、声をかけるようにしましょう。
エネルギッシュで元気なわんこ、運動不足の場合の対処方法は簡単。お散歩やドッグラン、わんこ用のランニングマシーンなどを利用して、ヘトヘトになるまで疲れさせてあげましょう。飼い主もヘトヘトにならないよう、お散歩は自転車での並走などがおすすめ。
わんこに荷物を持たせて、疲れやすくするのも一つの手法です。めいいっぱい走った後、ゼーゼー息切れするぐらい疲れたらわんこも満足するはず。人間のストレス発散法と全く同じですね。
お菓子を仕込んだおもちゃで遊ぶのも効果的。頭を使ってお菓子を取り出すことに集中し、常同行動を回避できます。子犬のうちから、お菓子を仕込んだ複雑なおもちゃで遊んだりして、頭を使わせていると、賢いわんこにもなるのです。
不安になりがちなわんこが常同行動をとりそうになったら、つかさず気持ちをそらすこと。その瞬間に気を引く必要があります。お菓子で気を引いたり、お散歩に出かけるのもいいですね。
不安になりがちな犬は、自尊心が低く、自分の立場に自信が持てなかったりします。母犬から早すぎる段階で引き離され、犬として世間を学ぶことができずに人間の家庭にきたわんこ。また子犬時代に虐待を受けて孤独に過ごした経験のあるわんこは自尊心が低い傾向に。
群れの中で過ごせる環境に身を置いてトレーニングを受けることができると、他の犬から社会性を学ぶことができ、段々を自信がついてきます。
また、集団行動をとる社会性のある犬は、本来、強いリーダーのもとで安心感をもつことができます。つまり飼い主であるあなたも、一緒にリーダーとしての対応を学びましょう。飼い主は常に穏やかで、毅然としたエネルギーを保つこと。
リーダーとして愛犬と信頼関係を築くことで、愛犬のアンバランスな精神状態を正常にしてあげることができるのです。人間の家庭で暮らすわんこにとっては、リーダーの不在が一番の不安要因。これは飼い主の心構えの基本としてぜひ覚えておきましょう。
毎日のお散歩の中で上手にあなたがリーダーシップをとることで、つよいリーダーを信頼し、不安な気持ちがなくなっていきます。リーダーであるあなたに集中し、穏やかで従順に行動する。そして、不安感から発生する執着から解放されていくのです。
安心してついていくよ~
最後に
いかがでしたか?
しっぽを追いかけたり、噛んだり、毛をむしったり。こうした問題行動には、様々な原因があることがご理解頂けたでしょう。飼い主として常に愛犬のサインを見逃さず対処してあげること、これこそが、大切なわんこを守り幸せにすること。
そして、かけがえのないパートナーとして、あなたもわんこから無償の愛情を受けるのです。リーダーとして、あなたの愛犬は堂々と落ち着いたエネルギーに満ち、あなたとは確かな信頼関係でつながる。アイコンタクトひとつで意思疎通が図れる、そんな関係も夢ではありません。
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